春夜姫

 それは、しんとした朝のことでした。

 いつもより早く目の覚めた春夜姫は、窓の外に何かがいるのを見付けました。城の者たちに気付かれないように、そっと庭へ出ます。新しく積もった雪を踏む度に、さくさくと軽やかなリズムが刻まれました。

 やがて、そのものの傍まで来ました。近寄ってみると、それは汚らしい鳥でした。寒さに震え、随分と弱っているようです。春夜姫は、その鳥を抱えて部屋に戻りました。

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