春夜姫
「どうしたの、クロ」
男の子は黒い犬に駆け寄りました。クロと呼ばれた犬は相変わらず、夏空を吠え立てます。
クロの視線の先を追い、合点がいった男の子はクロの頭を撫でてやりました。
「お前はえらいね」
男の子に褒められて、クロは嬉しそうに高い声を出しました。
男の子は木の上を飛ぶ夏空に向かって言いました。
「灰色の鳥さん、お前、お腹を空かしているんだろう?」
夏空は木のてっぺんに止まり、首を縦に振りました。
「餌をあげるから、こっちへおいで。その木の実を食べたら、体が痺れて死んでしまうよ」
夏空ははっとして、木の根元を見ました。地面に落ちた果実に群がる虫をよくよく見れば、まったく動いている様子がありません。
木から降りた夏空は、まずクロの前へ行き、助けてくれたことを感謝して深くお辞儀をしました。
男の子は黒い犬に駆け寄りました。クロと呼ばれた犬は相変わらず、夏空を吠え立てます。
クロの視線の先を追い、合点がいった男の子はクロの頭を撫でてやりました。
「お前はえらいね」
男の子に褒められて、クロは嬉しそうに高い声を出しました。
男の子は木の上を飛ぶ夏空に向かって言いました。
「灰色の鳥さん、お前、お腹を空かしているんだろう?」
夏空は木のてっぺんに止まり、首を縦に振りました。
「餌をあげるから、こっちへおいで。その木の実を食べたら、体が痺れて死んでしまうよ」
夏空ははっとして、木の根元を見ました。地面に落ちた果実に群がる虫をよくよく見れば、まったく動いている様子がありません。
木から降りた夏空は、まずクロの前へ行き、助けてくれたことを感謝して深くお辞儀をしました。