春夜姫
「よし。もう少しで姫君に会える」
夏空は翼に力を込めました。その時です。
「いたぞ!」
「捕まえろ!」
大きな声がして、馬の足音が近づいて来ます。夏空は何事かと思い、近くの木の枝にとまって様子を見ることにしました。しかし、
「木にとまった!」
「今がチャンスだ」
どうやら、狙われているのは夏空自身です。夏空は慌てて飛び立ちましたが、馬の足はそれよりも速く、網が投げられて、夏空はあっという間に捕まってしまいました。
「兄貴、この鳥に間違いないんですよね」
「見てくれは親分の言っていた通りだ。本物かどうかは」
兄貴分は左手で夏空の体を押さえつけました。夏空は暴れて抵抗しましたが、網が絡まり思うように動けません。兄貴分の右手は夏空の羽を一枚、引き抜きました。
「おい、水」
「へい」
弟分は腰に提げた筒の蓋を開けました。中には水が入っていて、兄貴分はそれで羽を洗いました。
夏空は翼に力を込めました。その時です。
「いたぞ!」
「捕まえろ!」
大きな声がして、馬の足音が近づいて来ます。夏空は何事かと思い、近くの木の枝にとまって様子を見ることにしました。しかし、
「木にとまった!」
「今がチャンスだ」
どうやら、狙われているのは夏空自身です。夏空は慌てて飛び立ちましたが、馬の足はそれよりも速く、網が投げられて、夏空はあっという間に捕まってしまいました。
「兄貴、この鳥に間違いないんですよね」
「見てくれは親分の言っていた通りだ。本物かどうかは」
兄貴分は左手で夏空の体を押さえつけました。夏空は暴れて抵抗しましたが、網が絡まり思うように動けません。兄貴分の右手は夏空の羽を一枚、引き抜きました。
「おい、水」
「へい」
弟分は腰に提げた筒の蓋を開けました。中には水が入っていて、兄貴分はそれで羽を洗いました。