『Badend Story〜2人のジャンヌ・ダルク〜』(歴史ダークファンタジー)

第12節『迷路の進み方』

―ユリウス歴1403年―


―フランス・宮廷内―



それは俺が、親父…つまり前国王のシャルル6世の養子になり宮廷内で暮らし始めてから3年の月日が経ったある日の事だった。


この1403年っていう年は、俺の今後の人生を大きく変える年となった。


それと言うのも、このユリウス歴1403年2月22日とは…他でも無い、シャルル6世の実子。シャルル7世の誕生だった。


今まで子を持たなかったシャルル6世だったが、実子の誕生により。


当然、宮廷内の王族や、王族に近い貴族達からは“養子”である俺が煙たがられる存在へと変わって行った。



―宮廷内・廊下―



俺を通り過ぎる貴族達や王族達…はたまた宮廷に使える使用人までもが、俺を冷たい視線で見ていた。



『あの子よ…』


“ボソボソ…”


『あぁ。“あれ”が養子の…』


“ボソボソ…”


(全部聞こえてるっての…)

『しかし可哀相だよなぁ…あのローってガキも…』



すると、貴族達の声に紛れ、宮廷に使える使用人達のヒソヒソ話しが俺の耳に入って来た。


そして、俺は咄嗟に物陰に隠れ、その使用人達の話しを聞く事にした。



『何でだ?』


『だってそうだろ?国王はもし、“実子が出来なかった時の保険”としてあのガキを連れて来たって言うじゃねぇか。』


『そうだったのかよ〜』

『しかし、国王様はその保険にすら王位を継がせる気は無かったらしいぜ?元々。』


『それってどう言う事だ?』


『いや。これは噂だが、仮に国王にこのまま実子が生まれ無くても、あのガキに王位が回って来る事は無かったって事さ。』


『何で?』


『お前、宮廷に使えてるのにそんな事も知らねぇのか?』


『うん。』
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