レイコーン
 
雨の日はバスが何分か遅れてやってくる。
 
 
 
「遅いなぁ。」
 
 
 
そうつぶやきながらも
マールは、誰もいないバスステーションは良いものだと感じていた。



孤独は孤独。
でも、いつもなら大勢の中で孤独を感じるのに
今なら、ひとりを感じても
孤独を感じるのは誰もいないからだと理由をつけて納得できるから。
 
 
それに誰もいないバスステーションは
自分だけがそこにいる生きた人間で
なんだか世界で一番偉くなっている気がする。

 
 
いつもの孤独を紛らわせるには
そう思い込むしかない。

 

『ザ~~~~』

 

雨音は、どんどん大きくなっている。
 
 
 
いよいよ、マールの傘の力ではどうしようもない。
濡れるのを覚悟で待つしかなくなっていた。
 
 
 
「遅い」
 
 
 
何度、この言葉を多用しているだろうか。
 
 
スクールバスは20人乗りの小型バスで
バスがやってくると運転手のマッコリーさんに挨拶をし
さっさと、みんな乗り込む。

 

さっきからマールの頭の中では
バスが来たときの様子をシュミュレーションしっぱなしだ。
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