レイコーン
 
彼の想像は
まずはマッコリーさんに挨拶。
家に帰ってから宿題。TVを見て、マンガを読んで、
それから、彼の父さんに言われているように勉強タイム。
 

「そういえば今朝、父さん、俺のシェーバー知らないかなんて言ってたなぁ。」
 
 
これが、彼の寂しくない想像らしい。

 
屋根の外の雨の勢いは止まる事を知らず
傘から垂れているはずのしずくはいつの間にか
もう垂れなくなっていた。

 

ふと我に返ったマール。
遠くの方でヘッドライトの光が見える。

 

「バスが来た!早く行かないと」

 

そう言いマールは
せっかく雨宿りをしていた事も忘れ
すばやく傘を差し手荷物を持つと
大雨の中、走ってバスステーションへ向かった。

 
プシュー。と音を立てバスは止まった。

 

止まると同時に開いたドアは
数秒も経たないうちに閉まる。

走り出すのだろうか。

 

「待って~~~」 

 

マールは心の中で叫びながらバスの元へと走っていた。
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