レイコーン
せっかく差した傘も邪魔になり、傘を閉じて全力で走った。
ピシャッ・・・ピシャッ・・・。
水溜りが足元に跳ねる跳ねる。
一瞬、足首に水がかかり動きが鈍った。
だけど、足元なんか気にもならないくらい
全身が雨に打たれ、濡れた服の色が変わっている。
そんなことには気にも留めずマールは走る。走る。走る。
発車しようとしていたバスは
マールに気がついたのか
途中で止まり、
入口のドアを空け待っていてくれた。
「はぁはぁ…どうにか間に合った。ありがとうマッコリーさん!!」
運転手の顔も見ずにマールは礼を言い乗り込んだ。
息を切らしていて上を向く余裕なんてない。
「・・・・・。」
運転手からの返事はなかったが
あまり気にも止めず
マールは一番奥の席へと向かっていった。