レイコーン
教科書は上半分だけ色が変わっていたが
そんなに気にする程でもなく
マールが言うようにほっといても大丈夫そうだ。

 

「ん?」 

 

よく見ると一冊だけ知らない本がかばんの中に入っていた。
 
 
「『ガルディアへようこそ』…?」
 
 
図書館で借りた本だろうか?
マールには借りた記憶がなく不思議に感じていた。
 
 
ふと、座席のシートの色が青いことに気がついた。
いつも乗るバスは赤いシートのはずなのに。

 

「・・・シートが青い?」

 
 
バスの中が暗く、乗る時は焦っていたため気がつくのが遅れたようだ。

 

大雨の外を見ると
時折光る街頭で外の様子を確認する事ができた。
どう見ても心当たりのある街並みではない。

 

「間違えた?すぐに降りないと。」

 

座席の奥から荷物を持ちだし、

運転手の方へと近づいて行った。

 
呼吸を整え思い切って言った。

 

「う、運転手さん。」

 


今のところ
彼の細い声は雨滴をふき取るワイパーの音に
負けていない。

大丈夫、聞こえているはずさ。

 
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