レイコーン
彼が降りたところにはちょうどバス停があった。

 

「多分、バスの来た逆方向に行けば大丈夫だよね?」

 

と、マールはひとり心の中でつぶやく。
それに、ここまでバスは一回しか角を曲がらなかったはずだから
帰れる自信もある。

 

バタ。

 
扉が閉まった音がかろうじて聞こえた。

 

外はまだ雨が激しく続いていて、
空は相変わらず真夜中のように真っ暗だ。

 

バスの戸の閉まる音を聞くや否や
自分で帰ると決めていたはずなのに
マールはついつい、後ろを振り返ってしまった。

 

はじめ、入り口を見つめたが
運転手とは目を合わせたくなく
すぐにバスの側面の方へと、視線をずらした。

 

バスの側面に書かれたロゴは
よだれのようにとけていて
何が書かれているのかよく読めない。

 

『ライフ・コット?』

 

聞きなれない言葉だ。
マールの学校の名前でもない。
スクールバスの会社の名前ではないのだろうか?
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