レイコーン
レンガの建物のそばにある
街頭もどこか懐かしく
街頭の足元には泥臭いゴミ箱が置かれていた。

 
「バスはこの通りに入る以外の角を曲がらなかったはずだ。」
 

あやふやな記憶をたどり、
バスがどういう手順でここまでやってきたかを考え直す。
何度考えても同じ答え。

バスは一本道を通ってきて、一回だけ曲がり一本道の路地に入った。

だから、
まっすぐにバスの来た道と逆に戻れば
学校に着き、歩いて数十分で家に帰れるはず。

そう思ったマールは
バスの行った反対方向に向かって行こうと決めた。
知らない道を歩くという不安を抱えながら。

 
マールがバスから降りた場所にはちょうどバス停があり
目印にするにはもってこいの場所だった。



「ここを目印にしよう」

 

停留所名前を調べてみると
バス停の名前には通りの名が使われていた。

 

ここの通りの名前は


『メビウス通り』

 

ちょうど今朝マールたちが会話していた噂の通りだ。

切符があれば
通りのどこかに路地が現れ
夢の世界へと行けるいうあの噂の通りだ。
 

バスはマールの知らぬ間に
ニコスが話していたメビウス通りにやってきていたみたいだ。

だけど、マールはメビウス通りに来たものの
『切符』持っていなかった。
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