レイコーン


「こんばんは、マール。」

  

「!!」

 

後ろから若い男の声が聞こえ、
マールは焦って振り返った。

 

風になびく黒髪。
どこか跳ね馬のような髪型に黄色い瞳。


「ニコス?ニコスじゃないか!?何でここにいるの?ニコス!」

 

マールは今までに見せた事もないような愛嬌を見せた。
まさかここに友人の一人がいようとは。

 

「こんばんは、マール。」

 

「…こんばんは。」

 

しばらくニコスを見つめるマール。
白いベストに黒いスーツと胸には赤いリボン、
まるで執事を思わせる姿のニコスがここにいた。

気のせいか、ニコスの様子はいつもと
違っていてどこか大人びて見える。

 

今いる環境がそうさせているのだろうか?彼の姿か?
いつもならろくな挨拶もせず、
いきなり不思議な世界の話をしだし、
ゲラゲラと品のない笑いをするはずなのに。

 
彼の期待とは違う態度に対して
マールも改まって距離を置いた。
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