レイコーン

 
「あの…?ニコスは、どうしてこんなところにいるの?」

 

「ここは、俺の『マスター』の家だからな」
 
マールは不思議そうに聞いた。

「マスター?主人ってこと?えっと、ここで使用人してるってこと?」

 
いつもよりも礼儀正しい、ニコスに対して
マールは素直な気持ちをぶつけた。

 

「『マスター』はマスターさ。」

 

「ふ~ん。」

 

ニコスの言葉によって生まれた疑問は
あまりにも多すぎて何から聞いてよいのかわからない。

 

「マール、寄っていかないか?マスターもお前に会いたがっている。」

 

「はぁ。」

 

いきなりの申し出に
マールの顔は強張った。
今まで、友人に家に招待された事がないからだ。

 

「行ってもいいの?」

 

なぜか、断られそうな気がして
不安げにマールはニコスに尋ねる。
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