レイコーン
「あの猫の子は本当に良い騎士になりそうじゃなセバス。ところでお主、自分があの子の肉親だと名乗らなくても良いのか?」
王とクロガネルだ。王は手にワイングラスを持ち一杯やろうとしている。
「猫の子ってニコスのこと?」
多分ここがマールが呼ばれていた王の部屋なんだろうけど
何やら立て込んでいるようで入っていいような雰囲気でもない。
「私は、王につかえる身としてあの子の母親を捨てた身ですよ。いまさら・・・。」
クロガネルの言葉が止まった。
「母親を捨てた?」ってどういうことだろう?
マールはこの会話から耳を離すことができなかった。
扉の向こうでは王が一杯どうだといわんばかりにグラスを差し出すものの
クロガネルは静かに首を横に振った。
「え?」
クロガネルの姿が消えた。
扉の前で覗き込んでいたマールは驚いた。
王の姿が目の前にあるのにクロガネルの姿は消えている。
チャキッっと甲高く剣と柄のつなぎ目の音が背後から聞こえた。
「覗き見とは関心せんな。」
「!!」
いきなりのことで呼吸ができない。
マールは背中から心臓を押し出されるくらい驚いた。