レイコーン
彼は、誰にも報告する相手がいないと

『雨だ。』と言ったところで虚しさが増すのをよく知っている。

 

「あ、雨?」

 

誰かが言った。

 

するとすぐさま天気の話題に。


「ホントだ、俺傘もってねぇよ!」


何人かは明日のことを心配し、
また何人かは今から大雨にならないかと
わくわくしながら期待している。

 

マールはと言うと、
もう知ってますよとつまらなそうな顔し
頭をかきながら
ぼんやりと雲を眺めていた。

 

雲の流れは、やたらと早い。

 

「はい、終礼をはじめます。」 

 

担当の先生の掛け声と共にはじまる簡単な終礼。
いつもなら休み中の注意事項の後
さっさと終わり、みんなそれぞれの帰路につく。

 

でも、
今日は終礼が終わると同時に、
スクールバスの元へと走る生徒もいない。

 

混雑しているバスステーションも
割り込みをしてくる人もいない。
迎えのいる人の余裕だ。
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