花の魔女
ナーベルは真剣に聞いてはいたが、ラディアンが話し終わるとふふっと笑い、ラディアンに顔を向けた。
「あなたが魔法使い?それに私が魔女ですって?まさか。今までそんなこと、言われたことなかったわよ」
ラディアンはナーベルの言葉にがっくりと肩を落とし、カップの中のコーヒーに視線を向けた。
それでもナーベルは構わず続けた。
「それとも私を落とす手口なの?見るからにそういうことに慣れてる感じだもの。ほら、あの人だってあなたに気があるみたい」
ナーベルはさっき自分達にコーヒーを持ってきた女性がちらちらとこちらを見ているのに気づき、ラディアンにわかるように視線を向けた。
ラディアンはナーベルが示す方向を見たが、ため息をついてナーベルに向き直った。
「何て言ったら信じてくれる?そりゃ、魔女だと言われたことはなかった…と思う。この国には君以外に魔女はいないんだから。僕だって、父が魔法使いだからそれとわかっただけだ。これは本当だよ」
ナーベルはラディアンの弱ったような顔を見て、嘘をついているようではなかったので静かに頷いた。
「じゃあ、仮に私が魔女だとしたら何?話の続きをしてくれる?」
ナーベルの反応に、ラディアンは嬉しそうに頷いた。
青い瞳が優しくナーベルを捉えて、ナーベルはドキリとした。