花の魔女
ナーベルは少し考え込んだ。
魔女になれるかもしれないということには興味があったし、ラディアンに協力したいとは思った。
(しばらく母さんにも会えなくなることを思うと胸が痛いわ)
ナーベルはそのことで悩んだが、あれこれ考えているうちに、会えなくなるのは結婚の話が出たときから同じことだったというのを思い出し、ナーベルは心を決めた。
そして心配そうにナーベルを見つめていたラディアンに顔を向けると、こくりと頷いてみせた。
「わかったわ。行きましょう」
ラディアンは安心したように微笑むと、すぐに席を立った。
「そうと決まったら急ごう。君が了解してくれてよかった。これから先、なるべく僕から離れないようにして」
そう言うと、ラディアンに続いて立ち上がったナーベルの手を取り、階段へ向かった。
階段のそばでは、先程ラディアンに見とれていた女性がうらめしそうにナーベルを見ていたが、ラディアンは気にせず女性にお金を押しつけると、さっさと外へ出ていった。