花の魔女
雷鳴が響き渡った。
鷹はその大きな身体をクルクルと回転させながら墜落した。
雷が鷹を貫き、鷹は絶命した。
ルッツが驚きに目を見張る中、ナーベルはすぐにラディアンの傍らに膝をついた。
痛々しい傷痕に降り注ぐ雨を止ませ、少しでも痛みが和らぐことを願いながら、左手を背中に這わせる。
そっと花の力を注ぐ。
これで傷が治ることはないが、ラディアンの苦しみを減らすことができるのならと、必死だった。
しばらくそうしていると、ラディアンは心なしか楽になったようで、乱れていた呼吸が落ち着いてきた。
ナーベルがラディアンの背中から手を離すと、ルッツが駆け寄ってきた。
ラディアンの背中の傷を見て、苦い顔をした。
ここまでひどい怪我を負っているとは思わなかったようだ。
ラディアンの怪我は目にするのも耐え難いほど痛々しい。
ナーベルはルッツに縋りついた。
「お願い、ラディアンを助けて!このままじゃ…」