花の魔女
ふうん、とナーベルはまるで興味がない様子で相づちを打った。
「嫌だわ、そんな勝手な人。相手の子の気持ちは考えないの?」
そんなナーベルの反応に、面食らったアイリーンがうーんと言いながら苦笑いした。
「そう、そうかもねぇ。でも、これってチャンスよ。お金持ちと結婚できる機会なんてこれを逃したらないと思うの。ね、行きましょ」
「い、行くってどこに」
「決まってるじゃない。その方のところによ。今は村長様のお家にいるらしいわ。ささ、早く早く!」
「えっ、ちょっと待って…!」
アイリーンはしぶるナーベルに構わず、ナーベルの手をとって走りだした。
ナーベルはアイリーンに引っ張られながら、アイリーンの行動に首を傾げた。
この話に興味がない自分を連れていったって、アイリーンには何の得にもならないのだ。
第一、ライバルを増やすだけだ。
(アイリーンに限って、一人で会いに行くのが怖い、なんてことはないだろうし……)