花の魔女

「ラディアンは俺だ。いくらお前でも、学ぶべきことだぞ」


と言ってジェイクはさっさと戸惑うラディアンの腕を引っ張って、さらっていってしまった。


ナーベルはラディアンと離されてしまって残念に思った。

けれどもフィオーレの言ったことには興味が湧いたので、ラディアンが見えなくなってしまうとフィオーレに向き直った。


「それで、新しいお勉強って何のことなの?」


フィオーレは微笑んで、人差し指を天に向けた。


「それはずばり、わたくしの力、花の力です」


「花の……?」


ラディアンはそんなこと言っていたかしら、と首を傾げた。


「花の力は喜びの力、そして何にも勝る幸せの力ですわ」


そう言ってフィオーレがさっと両手を広げると、シャワーのように光の花が空から降り注ぎ、花など一輪も咲いていなかった二人の足下に次々と花を咲かせた。

ナーベルは感嘆の声をあげ、咲き乱れる花々に見入った。

フィオーレは満足そうな表情を浮かべ、広げていた手を下ろすと花は降りやんだ。


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