花の魔女
ラディアンは捕らわれの身とは思えないほどの豪華な部屋を与えられた。
ただ、この部屋には窓がなく、ドアにも鍵がかけられているので自由に出入りすることはできなかった。
ラディアンは一日中何もせずに部屋に縫いとめられ、与えられる食事もほとんど口にしなかった。
ラディアンに世話係として付けられた、ラディアンよりいくらか年下の少年はどうしたらよいかわからずおろおろしていた。
世話係とはいえ、口を聞いてはいけないと言われていたのだ。
しかし、何日も食事にろくに手をつけず、日に日に弱っていくラディアンを見かねてついに声をかけた。
「僕に何かできることはありますか?」
ラディアンは、今まで無言で自分の世話をしていた少年が、突然自分に声をかけてきたことに驚いた。
そして、この子は自分の言っていることが果たしてわかっているのだろうか、と軽く眉をひそめた。
少年はラディアンのそんな様子に気がついて、にこりと笑ってみせた。
「見つからなければ大丈夫です。その……僕、給仕しか能がないと周りから思われているから、怪しまれることはないと思うんです」