花の魔女
まして話しかけたりするなんて思われません、と少し恥ずかしそうに言う少年は純粋だった。
「でも、なぜ?どうして僕を助けてくれるの?」
動機がわからずにそう尋ねると、少年は意気込んで言った。
「このままでは、あまりにもあなたが可哀想で。僕はあなたに元気になって欲しいんです」
そう言ってのける少年に、ラディアンは微笑んで手を差し出した。
少年は驚いて、目をまんまるにして手を見つめている。
「僕はラディアン。君は?」
少年は一瞬戸惑っていたが、すぐにラディアンの手をとった。
「僕はドニと申します。何でもお言いつけください、ラディアン様」
ドニの笑顔で、牢獄のようだったこの部屋にさぁっと光が差すのを、ラディアンは感じた。
あきらめかけていた気持ちもそれにあわせるかのように消えていった。
「……ありがとう、ドニ」