花の魔女
「ラディアンを助けに行くわ」
ジェイクから話を聞いたナーベルは、きっぱりとそう宣言すると、
ジェイクはぎょっとした顔をした。
「無茶言うな。お前は半人前どころかきちんとした魔法すらまだ身につけていないんだぞ」
ジェイクの反対する言葉に、ナーベルは涙を浮かべてジェイクを睨みつけた。
「それならどうしたらいいっていうの。早くしないとラディアンは明日にでも結婚させられてしまうかもしれないじゃない」
ジェイクは泣き出すナーベルを落ち着かせようと、ナーベルの両肩に手を置いて目を合わせた。
「いいか、よく聞け。ラディアンはまだ結婚はしない」
きっぱりと言うジェイクに、ナーベルは首を傾げた。
「どういうこと……?」
「結婚して一人前になるには、精霊たちの祝福を受けて力を授からないといけない。だから、多くの精霊たちが眠ってしまう冬に婚礼をあげても、意味はないんだ。さぁ、これでわかったか?」