偽りの結婚
「けれど心配いりませんでした。ラルフ様は料理も上手くて、林檎の皮をするするとおむきになって、それは手際のよいものでした。料理長も驚かれていましたわ」
本当にラルフが作ってくれたものだったの?
ッ………!
じゃぁあの時、私の隣で書類にサインを始めたのは、それを作っていて公務の時間がおしてしまったから?
だからあんな深夜だったの?
次々に浮かんでくる昨日のラルフの行動。
「そう…だったの」
偽りの関係だからか素直に喜べず、ただ呆気にとられた返事をしてしまう。
ラルフの公務を長引かせてしまったという申し訳なさからか。
自分の為に風邪に良い食べ物を作ってくれたことへの驚きからかは分からなかった。
「シェイリーン様は本当にラルフ様に愛されていらっしゃるのですね」
その言葉に苦笑いでそうね…と答えながらもズキンと胸が痛んだ。
モニカにしてみれば、ラルフはさぞ妻想いの夫に映っただろう。
けれど今はその事実にただただ混乱していた。