偽りの結婚



「ねぇ…モニカ。モルト王国って確かソフィア姫のお国じゃないかしら?」


そうだ、舞踏会に行くにあたってのマナー指導をお願いした日にアリアから聞いたんだったわ。



確か、ラルフの元婚約者の方よね……





「……ソフィア様を、ご覧になったことがおありなのですか?」


一瞬動揺したモニカは私の様子を窺うように尋ねる。




「いいえ、友人から聞いただけなの。なんでも、とても綺麗なお方と言うことを聞いたわ」


「私はソフィア様がこの国を訪問した際に一度お会いしたことがありますが、本当にお綺麗な方でした」


心なしか声の小さくなった私を気遣ってか、言葉を選びながら慎重に話すモニカ。




「なぜラルフはそんな方との婚約を破棄してしまったのかしら?」

「それは…」


私の問いにモニカは目を逸らして言葉を詰まらせる。

きっとラルフとソフィア姫の婚約の事にふれずにいてくれたのね。






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