偽りの結婚
「王家同士の交流で色々とあってね。招待した方の王族が、招待された方の王族を歓迎するという意味を込めて、国の城下を案内したりしてもてなすことになっている」
王族…というと、一応私も入るのよね?
確かモルト王国の王宮は真っ赤なバラ園に囲まれた白亜のお城だった。
その光景はさながら絵本から抜け出たお城そのもので、女の子なら誰でも一度は憧れるもの。
本で見た白亜のお城を実際に自分の目で見たい気持ちもあるけれど、それではラルフと距離を置くことが出来ない。
「今回はソフィアが案内してくれるみたいだが、シェイリーンも行かないかい?ソフィアは君と年代も近いし、きっと気の合う友人になれるよ」
……っ!!
――――ソフィア…
妃である私以外の令嬢たちの名前なんて呼ばないのに…
私だって名前で呼ばれているのは、ただ偽装夫婦であることがバレないようにするためにすぎない。