偽りの結婚
ラルフの口から出た親しみを込めた呼び方に、昨日の考えがよぎった。
やっぱり、ラルフにとってソフィア姫は特別なんだわ。
ならば余計二人の仲を邪魔してはいけない…
「私はここに残ります。まだ体調も万全ではありませんし、2日間寝ていたので明日から遠出をするのはちょっと…」
3日間ラルフと距離をおいて、出会ったころの気持ちにリセットしましょう。
あのころの…ラルフを女遊びの激しい王子だと思っていたあのころに。
そしたらこの胸の痛みも消えるはずだわ。
「そうか…残念だな。シェイリーンにもソフィアに会ってほしかった」
ラルフの心からの言葉は私の胸を抉った。
「…ソフィア様って貴方の元婚約者でしょう?モニカが貴方とソフィア様はとても親しい間柄だと言っていたわよ」
こんなこと…言うつもりじゃなかったのに。