偽りの結婚
けれど、貴方が本当に心から残念がっているような顔をするから。
私にはまるで貴方がソフィア様を特別に想っているように見えたから…
「そうだな…確かに、ソフィアとは昔から親しかった」
否定しないのね…
ダメね、私ったら…胸の苦しみをとるために話題を変えたのに、結局自分を苦しめている。
「特定の女性を作らない貴方が、唯一足を運んで会っていた女性とも…」
後悔をしているのに、止まらない私の口。
「あぁ、そうだったかもしれない」
表情を変えず、淡々と答えていくラルフにズキズキと胸の痛みは悪化する一方だ。
「なぜそんな素敵な方と婚約破棄をしたのですか?彼女ならあなたと身分も容姿も釣り合っているのに」
ソフィアとの仲を否定しないラルフが婚約破棄をした理由が分からなかった。