偽りの結婚



「詳しくは言えないが…政略結婚が嫌だったから、だということにしておこう」

「……そう」


それは、恋人としてソフィア様と結ばれたかったから?

ソフィア様が貴方にとって特別な存在だから?




確かめようとした口は噤まれた。

これ以上聞く勇気はない。



私の気持ちを表したような空は厚い雲が広がり、今にも雨が降りそうだ。






「シェイリーン、今日の君は何だか変だ」


下を向き、黙ってしまった私に声をかけるラルフ。




……それを言うなら、変わったのは貴方だわ。

前は私を気にかけたりしなかった。

貴方が前のように接してくれれば、この胸の痛みも忘れることができるのに。



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