偽りの結婚



「そ、そんなことないわ」


否定した途端、二度目の雷が落ちる。





ピカッ―――ゴロゴロッ―――


言葉とは裏腹に、背筋をピンッと伸ばし体を硬直させてしまう。





「そうか、なら良いけどね」


クスクスと笑いを我慢しながら笑うラルフ。




「わ、私やっぱりまだ体調が思わしくないみたいだわ。もう少し寝ます」


そう言って横になり、布団を頭までかける。




雷が怖くないなんて嘘。

雷だけは本当にだめなの……


ディランと過ごしたあの日、外はバケツをひっくり返したような土砂降りの雨。

空が明るく光っては雷が落ちるのを一人と一匹で耐えていたが…

目の前の大木に雷が落ちた時は本当に怖かった。





< 164 / 561 >

この作品をシェア

pagetop