偽りの結婚
「そ、そんなことないわ」
否定した途端、二度目の雷が落ちる。
ピカッ―――ゴロゴロッ―――
言葉とは裏腹に、背筋をピンッと伸ばし体を硬直させてしまう。
「そうか、なら良いけどね」
クスクスと笑いを我慢しながら笑うラルフ。
「わ、私やっぱりまだ体調が思わしくないみたいだわ。もう少し寝ます」
そう言って横になり、布団を頭までかける。
雷が怖くないなんて嘘。
雷だけは本当にだめなの……
ディランと過ごしたあの日、外はバケツをひっくり返したような土砂降りの雨。
空が明るく光っては雷が落ちるのを一人と一匹で耐えていたが…
目の前の大木に雷が落ちた時は本当に怖かった。