偽りの結婚
それでもまだ黙っている私に、少し悪戯心がわいてきたラルフ。
そういえば……とさも楽しそうに話しだす。
「今日の午後から雨がひどくなって落雷も多くなるだろうと学者達が言っていた。そうすると、この部屋はさぞ雷の光が見えて楽しいだろうな」
満面の笑みで楽しそうに話すラルフ。
暴露した事実にブルッと震えたのは言うまでもなく…
じょ、冗談じゃないわ……
一刻も早くここから避難したい。
でも……
雷から逃げたい気持ちと、ラルフに風邪をうつしたくないという気持ちが葛藤する。
答えを出しきれず難しい表情で考え込んでいると、上から諦めたような溜め息が落とされる。
「はぁ……シェイリーン、君には参ったよ」
本当に頑固だと言いたげな溜息だった。
「言い方を変えるよ。シェイリーン、今日は寝室に来てくれないか?」
観念したと言うような顔でゆっくりと話しだすラルフ。
いつになく真剣なまなざしを向けられる。
「正直なところ君が寝室にいないと、僕が困るんだ」
「え……?」
あっけにとられた声を上げる。
どういうことかしら……
またお母様に私達の仲について何か言われたのだろうか。