偽りの結婚



「それで?今日はどういった集まりのサロンなんだ?」


ラルフもサロンの趣旨までは知らないようだ。





「グレイク侯爵夫人が、文学がお好きな方々を集めて本のお話をするらしいです」


グレイク侯爵に招待されたあの日ラルフが私の本好きを話していたようだ。

そういうわけで、後日グレイク侯爵夫人がサロンに招待してくれたのだ。




「君にうってつけのサロンじゃないか」


事の主格であるラルフが興味深そうに呟く。




「はい。読書が趣味という方々ですから同年代はいないでしょうけど、とても楽しみだわ」


サロンと言えば上流階級の令嬢たちの間で催される社交的な集まりだが、その目的は様々。

各々の趣味に見合ったサロンを開き、招待している。

しかし、そのほとんどが令嬢たちの恋愛話の場に使われていた。

恋の一つもしたことがなかった私にそのような場は退屈でしかないだろう。


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