偽りの結婚



「むしろ、あのラルフ王子が必死な姿を見る事が出来て楽しかったわ」

「え?」


まるで、昔からラルフを近くから見てきたような台詞だった。

そんな私の思惑を察したのか、あらいけない…とオリビアは話し出す。





「私リエナ様とは幼少からの幼馴染ですの。ランカスター王家とうちは昔から懇意にさせてもらっているのよ」

「リエナ様と…そうでしたか」


そう言えばリエナ様のお歳も確かオリビア様と同じくらいだったわ。




「ええ、だから昔からラルフ王子のことを見てきたんですけど、この前のように焦ったラルフ王子は初めて見ました」


どこか嬉しそうに話すオリビア。


この人の目に映るラルフも普段と違っていたのかしら。

そもそも、普段私が見ているラルフは本当に偽りのないラルフ?

子供の頃からラルフを知っているオリビア様にはラルフがどんなふうに映っているのだろう。


< 208 / 561 >

この作品をシェア

pagetop