偽りの結婚



聞いてみたいと思う気持ちに駆られるままに口を開こうとした時――




「あら、いけない。今日はサロンにご招待したのよね。主催者が趣旨を忘れてしまってはいけないわ」


今日のサロンを開いた張本人が思い出したように胸の前で手を叩く。

ささっこっちよ、と案内されたのは招待された人々の中心。

意外と茶目っけのある人なのね。




「今日はラルフ王子の妃としてじゃなく、一人の女性として楽しんで行ってくださいね」


そう言うとオリビアはサロンに招待した人たちに挨拶するためにその場を後にした。



そうよね…今日は聞けるはずないわ。

サロンに来た趣旨を思い出し、断念したのだった。






「こんにちは、シェイリーンさん」

「こんにちは…えっと……」


横から声をかけられ振り向くと、そこには若い女性がいた。




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