偽りの結婚



「さぁ着きました。存分に不安を解消してくださいませ」


アリアの部屋の前まで来ると、笑顔でウィリオットさんに促される。





―――――コン、コン…

控えめに小さく扉をたたくと…




「はーい。誰だかわからないけれど、今忙しくって手が離せないから、勝手に入って良いわよ」


部屋の扉をノックすると奥から可愛らしい声で返事が返ってくる。

許可をもらったので扉を開ける。

そして、目に入った光景に唖然とした。

アリアの部屋の床はドレスや宝石で散らかっていて、ノルマン家おかかえの仕立屋が忙しく動いている。

その中心にいるアリアはドレス選びに必死なのかこっちに気付いてくれない。




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