偽りの結婚
さっきの会話、聞かれていたのね。
どうせならば、このまま私がラルフの妃であることを知られずにいたい…
「えっと、あの……」
そんなことを思いながら答えに迷っていると―――
「あっ、ごめんなさい。私とした事が!サロンでそんなことを聞くなんて無粋だったわ」
マリナは慌てたように謝罪する。
その表情は本当に申し訳ないような顔だった。
「じゃぁ、話題を変えて……シェイリーンさんはどんな本が好きなの?」
「私は本ならなんでも読むわ。けれど、この頃は専門書を読むことが多いわね」
他人から聞かれることでラルフと私の関係以外の事なんて珍しい。
偽りの自分じゃなく、本当の自分自身について聞かれる。
妃のシェイリーンではなく一人の令嬢として見てくれていることがこんなにも嬉しいだなんて。
今日のサロンに参加して本当に良かった。