偽りの結婚
あの夜、パートナーがいなかった所へベルナルドが現れてくれたことを思い出しての安堵の笑みだったのだが、目の前の男はそうは受けとってくれなかった。
「へぇ…そうだったのか。それは良かったね」
ラルフのまとう空気がスッと冷たくなり、ぶるっと身震いをする。
綺麗な笑顔が一層冷気を纏っているような気がする。
「君もこの頃元気がないようだし、“友人”たちに会えば気晴らしにもなるんじゃないか?」
友人という言葉をやけに強調するラルフ。
「そうですね…是非行きたいです」
不機嫌なことを隠そうともしないラルフに、半ば押される形で承諾をする。
「是非?そんなにノルマン家の子息に会いたいのか?」
眉をひそめて、ムッと顔をしかめる。
何よ…ラルフが行かないか?って聞いたんじゃない。
なんて言えば正解だったのか分からない。