偽りの結婚
「今日は僕の目の届く場所にいてほしい」
真剣な顔つきで話すラルフ。
あぁ…だからさっき離れるな、と言ったのね。
やはり自分に向けられる気持ちに鈍感な私はそう思った。
それはそうと、この状況は辛い。
「わっわかったから、放してちょうだい」
招待客の視線と目の前の愛しい人の視線から一刻も早く逃れたかった。
「良い子だ」
私の答えに満足したラルフは笑顔でそう言う。
「じゃぁ、僕は最低限挨拶をしなければならない人達がいるから行ってくる」
王子という身分も大変ね。
きっと、上流階級の集まりだから挨拶をしなければいけない家柄の方々がいるのだろう。