偽りの結婚
赤くなった頬を押さえながら歩いていると、ドタドタと上流階級が集まる場に相応しくない足音が聞こえる。
「シェイリーーーン!」
見ると肩まである赤髪をゆらしながら、懐かしい友人がこちらに向かって走ってきているではないか。
公爵家の令嬢ともあろう娘が、ドタドタと走るのはいかがなものだろうかと思うが、相手はアリア。
彼女は太陽のように明るく、何にも縛られない自由な人。
「アリア…」
一言漏れた言葉はその友人のもので…
彼女の名を呟いた瞬間、懐かしさがこみ上げる。
どんどんこちらに向かってきているアリアの顔は、嬉しそうな顔にも怒ったような色も含ませていたが、どんなアリアでも嬉しかった。
そして、飛び込んでくるであろう親友に備える。