偽りの結婚
「……?ええ、もちろん。ラルフは私が何度もこの屋敷に来ているのを知らないからだと思うわ」
他に何の理由があるのだろうか。
アリアはその理由を知ってるのかしら?
まるで知っているかのような口ぶりだった。
「まぁ…今はいいわ」
納得していないのか、歯切れの悪い返事だった。
「それなら、近くの壁に移動しましょう」
そう言って、アリアはラルフの目の届くところへ行くため、歩みを戻した。
「ありがとう。」
移動した先は、ラルフがいるところから少し離れた窓の傍。
周りには料理が置かれたテーブルやソファーがなかったため、アリアと私の二人だけだった。
ここなら大丈夫ね…
ちらっとラルフを見ると、数メートル先で初老の男性とその娘らしき人と談笑している。
きっと娘を側室に…なんて言われているのだろう。