偽りの結婚




途端、嫌悪感が一気に増す。



自分の腕を掴む無骨な手。

口元に浮かぶニヤニヤとした笑み。



同じ男性なのに、なぜこうも違うのだろうか。



思い出されるのはラルフの事。

いつも髪を梳いてくれる大きな手。

自分を見つめる紺碧の瞳。

力強く抱きしめる逞しい腕。

体がすっぽりと収まるくらいに広い胸の中。



そこには嫌悪感など無く、あるのはひたすらに温かく甘い感覚のみだった。






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