偽りの結婚



「お安いご用よ!やっと社交界に興味を持ってくれたのね。私嬉しいわ!」


手を取られキラキラとした目で見つめられる。

前々からもっと社交界に興味を持って!だの舞踏会に行きたいと思わないの?などとさんざん言っていたため、今回のことが相当嬉しいのだろう。





「来週の舞踏会ということは国王様主催の舞踏会ね」

「えぇそうなの。国王様勅命で開かれる舞踏会だから私にまで招待がかかっちゃって。本当は行きたくないのだけど…」


しかしアリアは私の言葉など聞いておらず、うっとりとした表情でなんて良いタイミング…と呟く。





「シェイリーンの社交界デビューはラルフ王子の結婚相手を決める舞踏会なのね」



……ん?




「王子の結婚相手を決める為の舞踏会?」


初めて聞く舞踏会の趣旨に思わずアリアの言葉を復唱する。



「舞踏会なんて表向きの理由よ。なんでもラルフ王子は隣国のソフィア様と婚約をされていたんだけど、最近王子から婚約破棄を申し出たそうなの。それを見かねた国王が、王子の結婚相手を探すという名目で舞踏会を開くことになったみたい」


それで国中の女性を集めたのね…




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