偽りの結婚
「今回の舞踏会にそんな目的があったなんて知らなかったわ」
私の記憶が正しければラルフ王子は今年25になる。
25と言えば十分結婚適齢期だ。
早く王家の子孫を残し、孫の顔を見たいと思っているであろう国王の気持ちはわからなくもない。
「けれどなぜ隣国の姫君と婚約破棄をされたのかしら…」
隣国のソフィア様といえば、とても美しいことで評判のお姫様だ。
そんなお姫様でさえ満足させられなかったのだから、果たして国中の女性がまとめてかかっても王子の目にかなうかどうか…
「婚約破棄の理由は知らないわ。けれど、この婚約破棄を国中の女性が喜んだに違いないことは確かね」
そう答えるアリアは理由なんてどうでもいいという顔をしていた。