偽りの結婚



しかし、男の口から出た言葉は衝撃的なものだった。




「旦那も浮気してるんだから大丈夫だろ」

「……っ」


その言葉に絶句する。



こんな公の場でそんなこと言うなんて信じられない…

これならまだヒソヒソと陰から厭味を言われている方がましよ。



男の一言は、私の動きを止めてしまうには十分な威力を持っていた。

先程まで抵抗していた腕もダラリと力を無くし、男のなすがままにされる。





「ほらほら、行こう」


腕に力が入らなかったのを、肯定と捉えたのか、男は嬉しそうにする。

抵抗なく連れられる様子を見て焦ったのはベルナルド。




「お前らいい加減にしろ…」


ベルナルドもいつにない怒りを含んだ声を上げ、私を引き戻そうと手を伸ばした瞬間―――



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