偽りの結婚
「…ラル…フ……」
助けに来てくれた喜びと、抑えようのない気持ちに戸惑い、うっすらと涙の膜が張った瞳でラルフを振り返る。
その人の名前を呼ぶ声は、掠れてしまった。
「シェイリーン」
ラルフは私を見て一瞬目を見開き、眉を寄せる。
「来るのが遅くなってすまなかった」
男たちの視線から守るように身体ごと自分の方に向かせ、優しく髪を梳くラルフ。
ラルフと分かった瞬間、先程の男たちに見せた抵抗など一つもなく、ふっと力が抜けるのが分かる。
身体は痛いくらいに正直だ。
「大丈夫か?」
いつもなら抱きしめられるとドキドキと煩い心臓も、今はトクントクンと落ち着いた鼓動を刻んでいた。