偽りの結婚
ラルフの問いに「はい…」と一つ返事をすると、厳しい顔つきから一変、ラルフは温かな笑みを浮かべる。
「「「…っ!!」」」
そこにいた私とアリアを除いたメンバーが目を見張った。
彼らの気持ちを要約するなら、なんだその甘い笑顔は…だろう。
それもそのはず。
彼らが見るラルフの笑みは、言わば社交界で見せる上辺だけの笑顔であり、全ての人にその笑顔で接していた。
しかし、目の前のラルフは今までに見せたことのない笑顔で笑っている。
一同はしばし唖然とした表情で二人を見守っていた。
「まったく…少し目を離した隙にこれか」
呆れたように溜息をつくと、睨みの効かない睨みで私を見つめる。
「なっ!私のせいじゃないわ」
まるで子供扱いなラルフの言葉にむっとする。
ラルフとしては子供扱いから出た台詞ではなかったが、私はそれに気付づかない。