偽りの結婚
普段温厚なラルフから出たとは思えない、地を這うような低い声。
ラルフと男たちの間でオロオロとする私は、自分が事の原因であることに不安になる。
もはや一方的に連れていこうとした男たちの無礼など頭になかった。
そんな不安な視線に気づいたラルフは私を見下ろし、安心させるように微笑む。
それは、「大丈夫だ。」と言われているようで…
先程まで不安でいっぱいだったはずが、一瞬でほっとするのが分かる。
「…申し訳ございませんでした」
男たちは意気消沈し、その場から去って行った。
なんだよ、噂と違うじゃねぇかよ…という男たちのヒソヒソ話を残して。
噂というフレーズを聞き、ドキッとしたが、ラルフはさして気にした様子もなく、今度はベルナルドとアリアの方を向く。
「ベルナルド君…だったかな。シェイリーンを助けてくれたこと礼を言う」
先程男たちから引きはがそうとしたところを見ていたのだろう。
ラルフは私を助けようとしたベルナルドに感謝を述べる。