偽りの結婚



「そうだったわね。だって、ラルフのもてなしって素敵ですもの」


そう言ってほほ笑む姿は一国の姫ではなく、一人の女性としてのようで。



やっぱりソフィア様もラルフの事が…





「今回も私をあっと驚かせてくれるようなものを用意してくれてるのよね?」

「当たり前だ。ソフィアが喜びそうなものを用意している」


キラキラと期待に満ちた目で見上げられ、ラルフは優しい笑みを浮かべる。

その笑顔にキュッと胸が締め付けられた。




ラルフは誰もに優しく接するように見えてそうではない。

その証拠に、気を許した人間には心からの優しさを見せるが、自分に寄ってくる令嬢たちには表面的な優しさしか見せていない。

今ソフィアに見せている優しさは前者のもの。


時折私に見せた優しさは、自分に責任を感じているから。

看病をしてくれたときも、ベルナルドさんの誕生日パーティーの時も。

きっと、偽りの妃であるにもかかわらず公式の場に引きずり出したことに責任を感じていたのだろう。




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