偽りの結婚
「いいか、くれぐれも…「分かってるわ。男の人とは話さないし、相手をしない…でしょう?」
ラルフはあの誕生日パーティーの一件以来、こうしてパーティーの度に煩く言うことがある。
それは“男の人とは話さないこと”“絡まれても相手をしないこと”“一人にならないこと”その他諸々…
小さな子供じゃないんだから、と言いたいくらいだけれどラルフは自分が目を放したことを悔いているのが伝わってきたから何も言えなかった。
「今日は僕が招待した人間だから信用できるが、万が一ということもある」
確認事項を復唱したにもかかわらず、ラルフは信用していないようだ。
心配そうな表情をするラルフ。
今日は若い人たちはいないから大丈夫。
けど……
「気を付けるわ」
大丈夫とは言えなかった。
誕生日パーティーで大丈夫と言っておきながら、あんなことになったんだし。
ラルフは私の言葉にしぶしぶ、といった表情で挨拶に行った。