偽りの結婚



ラルフが挨拶に行くのを見届け、料理が置かれているテーブルに近づく。

ホールの両サイドには料理長が腕をふるったであろう色とりどりの料理が並べられ、ビュッフェスタイルのパーティーとなっていた。

ピカピカに磨かれた銀の食器に料理を取り分け、真っ白のクロスがかけられたテーブルへつく。





――――と、そこへ今日の主役であるはずの姫君が疲れた顔をしてやってきた。




「はぁ…疲れたわ」


ぐったりとテーブルに体をあずける様に疲労感を滲みだすソフィア。

片手に持ったワイングラスの中身はほとんど減っていなかった。





「ソフィア様…こんなところに来られて大丈夫なんですか?」


ソフィアが来たことで一人にならずにすんだので正直助かったが、ふと視線を向けた先を見て思い直る。

その視線の先では、ソフィアの護衛らしき人たちが焦ったように周りを見渡しているからだ。

この様子では護衛の人をまいてきたのだろう。



「大丈夫よ。こちらの国の方々への挨拶は済ませたから」


そう言ってワイングラスを傾けるソフィア。

しっかりと護衛の人たちに背を向けて…



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