偽りの結婚



「やっぱりパーティーってつまらないわ」


ワインを一口飲み、ふうっと一息つくとともに愚痴をこぼす。

一国の姫ともなろうならばパーティーやサロン、およそ令嬢たちが行きそうな行事には多数出席しているだろう。

令嬢にとってパーティーやサロンに赴いた回数が一種のステータスであり、喜びでもある。

名のある家から招待された…などと、自慢げに話すのが令嬢たちの楽しみといっても過言ではないが、目の前の美しい姫君はそうでないようだ。

自分と近い感覚を持ったソフィアに少し親近感を持った。





「私もこのような賑やかな場は苦手です」


他の令嬢たちには言えないことを思い切って言葉にしてみる。

こんなことを他の人の前で言おうものなら「信じられない」「本当に王子の妃?」なんて言葉が返ってきて、たちまち爪弾きに遭うだろうから。

…と言っても、女性の人全般に嫉妬の眼を向けられているので向うから近づいてくることはなく、いつも遠目からヒソヒソと話をされているだけ。

賑やかな場には令嬢たちがいる。

だからそのような場が苦手だった。


< 308 / 561 >

この作品をシェア

pagetop